さいたま市立浦和南高等学校
サッカー部OB会オフィシャルサイト

〈特別寄稿〉

11期　　田嶋 幸三　

　サッカー部OBの皆様にはお元気にお過ごしのことと存じます。浦和南高校を卒業して早40数年の月日が過ぎようとしています。高校時代を振り返りますとサッカー抜きでは語れません。

松本暁司先生を慕い入学そして入部したサッカー部

1年次・・
　入学前の春休みから私は南高の練習に参加していました。3月末の藤枝遠征にも帯同し、今思えば許されるのかどうかわかりませんが、試合にも出ていました。当時は、部員数も少なく、まして3年生の卒業した後の2学年しかいないサッカー部では、30名程度ではなかったかと思います。そしてその遠征で、新1年にもかかわらず、活躍したことを覚えています。
　入学当初は、南高の周りにはほとんど家もなく、南高前にパン屋さんがあり、先輩たちがいつも部活終了時に飲んだり食べたりしていました。南浦和からのバスは、多くの南高生であふれ、砂埃を上げて走っていました。
　赤き血のイレブンに憧れ、松本先生をしたい、入学しましたが、児玉高校、浦和市立高校、浦和西高校、浦和高校など、想像した以上に強豪校がひしめき、結局1年次は、関東大会、全国大会はおろか県の決勝にもいけませんでした。東京から通っていたこともあり、このままでいいのか悩んだ時期もありました。

2年次・・
　他の高校や指導者と比較することができない状況で、浦和出身の中学校などのネットワークにより、他の高校が南高よりも厳しいらしい、しかも理不尽な先輩後輩の関係もあると噂に聞き、南高に入って良かったと思うようになってきました。松本暁司先生の指導は、サッカーの本質から外れることなく、的を射た、そして、タイミングも良い指導をしてくださいました。自分がこれは怒られると思った時に、しっかりと指摘してくださり、後々指導者への道を進むときの良い経験となりました。もう1つ発見したことは、浦和の出身の仲間たちの基本技術の確かさでした。少年団、中学校時代に良い指導を受けてきたのだな、と思いました。そして彼らの会話の中には、少年団や中学校時代の指導者や、他校に行った選手たちの話がよく聞かれ、サッカーの街だということを認識しました。当時、埼玉、静岡、広島の3県がサッカーでは名を馳せており、さすがサッカー県だなと驚いたことを覚えています。
　また、インターハイに初めて出場することができ、全国大会を経験しました。そこでの1回戦、2回戦、3回戦は、埼玉県の県予選よりも簡単で、改めて埼玉を勝ち抜くことの難しさを肌で感じました。

３年次・・
　南高は、浦和高校、浦和西高校には強く、負けることはありませんでした。しかし、浦和市立高校、児玉高校には相性が悪く、勝つことができませんでした。集大成となる3年次に、インターハイ予選も破れ、最後の高校選手権では、くじ運もあり、苦手な浦和市立高校は、浦和西高校が破ってくれ、埼玉県の決勝では、浦和西高校との対戦でした。1年生の野崎、加瀬、近藤、河崎の活躍で、初めての高校選手権に出場することができました。厳しい埼玉県予選を勝ち抜いてきたこともあり、全国大会においては、皆さんご存知の通り、決勝で静岡工業を２−１で破り、優勝することができました。

最後に…
　3年の高校選手権で優勝したことで報われたと思ったことも事実ですが、3年間サッカーを追求し、勝とうと努力してきたこと、このことの方が価値があると思います。在校生の皆さんもいろいろな思いがあり、それぞれのサッカーの夢を叶えられた人、叶えられなかった人もいるかも知れません。でも、いつの日か、南高で汗を流した3年間が、いかに大切な時間であったか、ともに闘った仲間たちが貴重な友人であるか、わかる日が来るはずです。

　今までサッカーに携わる仕事をさせていただき、その根底にあるのは南高サッカー部で経験したことと言っても過言ではありません。OBの皆様も同じだと思いますが、汚いプレハブの部室で教室以上に過ごした時間。松本先生の厳しい練習の下、血の汗を流した手作りのグラウンド。最後の選手権大会で流した涙・・・等はすべて「仲間」との時間でした。その仲間とは現在も交流があり、かけがえのない人生の「宝」となりました。
　最後になりますが、OB会がさらに発展していくことを祈念するとともに、OB会、在校生の皆様のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
　貴重な紙面をいただいたOB会幹事の皆様に御礼申し上げます。

以上