福井工業大学サッカー部オフィシャルサイト

氏名：東井 一眞
学部学科：スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科4年
出身校：北陸高校
サッカー歴：明新JFC→レアボーラテクノ
 
約16年間続けてきたサッカーを、ついに引退しました。何度も自分のサッカー人生を振り返る機会がありましたが、やっぱり「怪我」という存在は、僕にとって切っても切れないものでした。

・高校1年生：左膝前十字靭帯断裂　半月板損傷、
・高校2年生：右膝前十字靭帯断裂　内側側副靱帯損傷、
・大学4年生：左膝前十字靭帯断裂　半月板　大腿骨損傷

こうして振り返るだけでも、自分でも驚くほどの大怪我の連続で、正直、他の人ならとっくにサッカーを諦めていたと思います。
いつも大事なタイミングで、調子が上がってきた瞬間で、たくさんの人が応援に来てくれた日に限って怪我をしてしまう。そんな自分が情けなくて、何度も悔し涙を流しました。
それでも、ここまでサッカーを続けてこられたのは、間違いなく両親や仲間、監督・コーチのおかげです。どんなに苦しい時も支えてくれた存在があったからこそ、最後までボールを追い続けることができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

【大学で過ごした4年間の戦い】

大学サッカーは、今振り返っても本当に過酷な4年間でした。
1年生の時は1部参入戦まで進んだものの、あと一歩届かず。悔しさが残る結果でした。振り返ると当時のチームは忘れ物が多く、遅刻や無断欠席もあり、雰囲気は最悪。監督も解任され、翌シーズンは監督不在という異例の状況に。練習には10人も集まらず、チームの方向性もバラバラで、何を目指しているのかさえわからないような日々でした。
そんな混乱の中、大学2年生のシーズンを戦いましたが、再び1部参入戦でアディショナルタイムに得点を許し、昇格を逃しました。あの瞬間の悔しさは今でも鮮明に覚えています。それでも、キャプテンの優作くんが誰よりも前を向き、チームを引っ張る姿を見て、「自分も頑張らなきゃ」と心から思いました。
その後、新しい監督が就任し、新チームがスタートしましたが、監督の熱量についていけない選手や不満を口にする者も多く、チームが変わるタイミングで自分たちの弱さが露わになりました。正直、自分はどうすればいいのか分からず、何もできない無力さに苛立ちを感じていました。

そのまま3年生になり、自分のプレーは思うようにいかず、監督に厳しく叱責された夏のフェスティバルのことは今でも忘れられません。けれど、あの経験が僕を大きく変えました。チームのために何ができるのか、勝つために自分がどう動くべきかを本気で考えるようになったんです。
その結果、チームは念願の1部リーグ昇格を果たしました。仲間と喜び合い、自分たちの代で1部の舞台に立てることが本当に嬉しかった。新入生も多く入り、これからの戦いが楽しみで仕方なかったです。毎日欠かさず筋トレをし、食事管理にも気を配り、和歌山キャンプではコンディションも最高の状態に仕上がっていました。ようやく“戦える自分”が戻ってきたと感じていた、その矢先でした。

【再び襲った怪我、そして“最後のゴール”】

大学4年の天皇杯。初戦のピッチに立ち、ボールを追ったその瞬間、着地と同時にあの“嫌な感覚”が走りました。左膝が再び壊れたと、すぐにわかりました。
頭が真っ白になり、気持ちは一気に崩れ落ちました。努力してきた時間も、積み重ねたものも、一瞬で奪われた気がしました。サッカーができない現実に向き合うのが怖く、グラウンドに行っても心が置き去りになっているような感覚でした。
みんなが楽しそうにボールを蹴る姿を見るたびに、涙がこみ上げて止まらなくなりました。「なんで自分ばっかり」と思うことも正直ありました。大好きなサッカーができないことが、こんなにも苦しいものだとは思いませんでした。

そんな中、監督が「最後の公式戦、5分でもいいから出てみないか」と声をかけてくれました。
ピッチに立った瞬間、胸が熱くなりました。仲間たちは僕にボールを集めてくれ、みんなが「一緒に戦ってきた仲間」として送り出してくれているのが伝わりました。そして奇跡のようにボールが自分の足元に転がってきて、思い切って振り抜いたボールがゴールネットを揺らしました。
あの瞬間、今までの全てのことを思い出しました。神様がくれたプレゼントのようで、本当に報われた気がしました。終わりよければすべてよしとは言いませんが、あのゴールは16年間の努力のすべてを象徴する一瞬だったと思います。

【後輩たちへ】

今年、チームは1部残留を果たすことはできませんでしたが、みんなの持つポテンシャルは本当に計り知れません。だからこそ、もっと素直に、謙虚に、サッカーを心から楽しんでほしいと思います。
きついことやしんどいこと、思い通りにいかないことはたくさんあるけれど、そんな時間こそが人を強くするし、仲間との絆を深めると思います。
全国から集まった仲間たちと、福井という地で同じ目標に向かって頑張る経験なんて、人生の中でそう何度もできるものではありません。今はまだ実感が湧かないかもしれないけど、いつかきっとこの時間がどれほど大切だったかに気づくはずです。
だからこそ、「今」を大事に、全力でサッカーと向き合ってほしい。サッカーができることは、決して当たり前ではないから。

【最後に】
これまで支えてくださったすべての方々に、心から感謝しています。
この16年間で経験した怪我も挫折も、仲間との出会いもすべてが自分を成長させてくれました。サッカーを通して出会った人たち、共に戦った仲間、そして応援してくれた家族――そのすべてが僕の宝物です。
これからの人生でも、この16年間で培った「諦めない強さ」と「感謝の心」を忘れずに歩んでいきます。
本当にありがとうございました。
そして、福井工業大学サッカー部のさらなる飛躍を心から願っています。
みんな、がんばれ。ずっと応援しています。